誰にでもあるこどもの頃の
経験を活かせるのが小児分野
楽しい思い出を増やすサポートがしたい

こどもデイサービスわこう皆生通り 作業療法士

足立 愛知 さん

Profile
鳥取県米子市出身、本学令和4年度卒。高校卒業後、医療とは別の分野に進学したのち、将来を見据えて再び進路に向き合う。作業療法士の知人から話を聞き、興味を持ったことがきっかけで、24歳になる年にシマリハへ入学。

足立さんが勤務している、放課後等デイサービスとは?

支援を必要としている障がいのあるお子さんや、発達に特性のあるお子さんのための福祉サービスを提供する施設です。ここでは小学生から高校生までを受け入れています。放課後に車で学校へ迎えに行き、宿題をした後、ボードゲームや体を動かす遊びなど好きなことをしながら過ごします。17時頃にそれぞれの自宅へ車で送っていくといった流れです。学校が休みである土曜日や、夏休みなどの長期休暇は朝から利用ができます。
公園や図書館へ外出する活動も取り入れています。社会のルールを学ぶことや、コミュニケーションスキルの向上などが目的です。保護者の方とも連携をとり、お子さんにどんな支援を望まれているかをお聞きして、こどもたちそれぞれに支援計画を立てます。
作業療法士の他に、児童発達支援管理責任者、幼稚園や保育園の先生、レクリエーションインストラクターなど、さまざまな資格や経験のあるスタッフが集まる職場です。

こどもと関わる仕事を選んだ理由は?

元々こどもたちと関わるのが好きだったのは前提としてあります。小児分野を目指したのは、自分自身の経験を踏まえた関わりによって、辛い生き方を少なくし、楽しい経験を増やしてあげたいと思ったからです。誰にでもこどもだった時代があり、こどもの頃に経験した楽しい出来事や辛い思い出がそれぞれにあると思います。私自身もこどもの頃に辛い経験をしました。当時は言葉にならなかったり、自分でもよく分からなかったりした感情でも、大人になった今、振り返ってみると「こういうことかな」と分かることがあります。そういった自分の経験を活かすことで、今困り事を抱えているこどもたちの助けになったらいいなと思っています。

作業療法士として、こどもたちとどのように関わっているのですか?

例えば自閉症といった発達に特性のある子は、他の人とコミュニケーションがうまくいかず、ちょっとした揉め事が起こってしまうことがあります。本人に悪気はないので、責めずにその子の様子をよく見ながら「こういうふうにしてみたらいいよ」と声をかけるようにしています。苦手な領域にも取り組めるよう支援することはもちろん大事ですが、辛いだけのものだったら誰しも嫌になってしまいます。だから好きなことや長所を伸ばすように関わっていき、こどもたちが自らやる気になるような支援を心がけています。

やりがいを教えてください。

何よりこどもたちとの関わりが楽しいです! 皆んながワイワイ遊んでいるところを眺めるのも好きです。施設での関わりによって、すぐに成長や変化が見られるものではありません。ですが、それまでなかなかできなかったことを、乗り越えられる日がやってくるんです。その瞬間は感動します。また、難しいことに挑戦して、できた時の喜びをその子と共有できるのも嬉しいです。
この先のことを考えた支援は病院や高齢者の施設でも行われていますが、この子が社会人になることを見据え、一緒に将来を考える部分は、同じ作業療法士の仕事でも他にないことかなと思います。実際に、小学生から高校生までずっと通われているお子さんもおられて、長く関わっていけるところに魅力もあります。

シマリハでの思い出は?

在学中に新型コロナウイルスが流行したので、学童保育の見学などはできませんでした。ですので、小児分野以外の思い出になりますが、臨床実習を見据えたOSCE(オスキー)の授業はとても役に立ちました。学生が扮した模擬患者さんに挨拶をするところから始まり、体を起こして車椅子へ移乗、体の動きを検査するというふうに、実際の現場での一連の流れを練習します。その中で先生にいただいたアドバイスが臨床実習でも活かされました。勉強したことがちゃんと身になっているという実感は、楽しさにも繋がりましたし、同級生との連携を感じられたことも思い出として残っています。

作業療法士を目指す人へメッセージをお願いします。

好きなことはとことんやったほうがいいです。なぜなら、自分の趣味や得意なことが今後関わっていく方々との話のネタになるからです。私はアニメが好きなのですが、こどもたちとの関わりにとても活かされていると実感しています。
小児分野に限らず、病院や施設で働きたい人にも言えると思います。旅行が好きな人なら、「私、〇〇県に行ったことありますよ」と、相手との共通点が見つかるとか、野球が好きな人ならどのチームのファンかといった話で盛り上がりますよね。そうしたコミュニケーションの中から信頼関係が生まれるんです。療法士は色んな人々と関わる職業なので、会話の引き出しを増やしておくと自分の強みになります。趣味や特技といった話は無駄になることがありません。
臨床実習が始まると、世代が違う患者さんと何を喋ったらいいのかと困ることがあるかもしれません。そんな時はシマリハの先生と積極的に話してみるのもおすすめです。優しい先生方が多いですし、コミュニケーション力を上げる練習にも親身になって付き合ってくださいます。

今後の目標を教えてください。

臨床心理の勉強をして知識を深めていきたいと思っています。こどもたちの表情や行動を見ていると、何か言い表せない思いを感じることがあるのですが、今の私の声かけではサポートに限界があると感じています。そんな時、どんな関わり方がその子にとって良いのだろうと考えてしまうんです。もっと親しみやすい存在や、こどもたちのサインをより読み取れる療法士になるために、心について深く知り、作業療法士の枠を超えてあらゆる面からスキルアップしていきたいです。

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