社会生活においてさまざまな障がいを抱える人の心身の回復と社会への適応を支援することが作業療法士(Occupational Therapist:OT)の仕事です。
作業療法における「作業」とは「その人にとって価値があり、生きる喜びを与えてくれること」。
作業療法士は対象者の想いに寄りそい、あらゆる手段を用いてその作業を取り戻すお手伝いをします。
本校では、多角的な視点から対象者や周囲のニーズを引き出し、ひとつの社会で人々が支えあう社会づくりに貢献するための最良のアプローチを提案・実践できる人材を育成します。
内容と特色
心身機能の回復や補助具の提案などの病気・障がいを持つ人に向けたアプローチ、そして「作業」を通じた閉じこもり予防や地域交流の促進などの健常な人々に向けたアプローチという2つの軸から専門知識・技術を修得します。
- 授業に連動性を持たせたカリキュラム体系によって「なぜ、今、この内容を学ぶのか」という目的を深く理解し、応用や実践に結びつけます。
- 病気や障がいの医学的評価・治療のほか、健常者に対する予防やコミュニケーション支援といった幅広い視点での作業療法を学びます。
- 対象者とその家族や職場、地域に働きかけ、より最適なケアのための相互理解と連携を支援するマネジメント能力を磨きます。
卒業後の進路
就業先の多くが病院・クリニックで勤務しています。介護老人保健施設、介護老人福祉施設、児童養護施設、特別支援クラスのある保健所などでもニーズがあります。専門知識を活かし福祉用具メーカーで活躍する人や、新製品の開発に携わる人もいます。
資格取得をサポート
- 認知症サポーター
- マインドフルネスセラピスト
- チャイルド心理カウンセラー
- 普通救命講習Ⅱ
質の高い教育で実践力を養成
- 身体障がいにおける作業療法を専門的に学ぶ
1~2年次に学んだ基礎的な知識を統合し、さまざまな身体症状に対する治療や支援技術を修得します。アクティブラーニングを導入し、学生と教員による双方向のコミュニケーションを通じて学びを深めます。
(作業療法治療学I(身体))
- 何気ない日常動作から学ぶ人の生活の成り立ちと意義
日常生活に欠かせない「食事」「着替え」「入浴」などの動作の運動学的・文化社会学的な成り立ちやそれらに障がいを抱える方の支援方法を学ぶことで、作業療法士特有の多角的な視点での介入を体験できます。
(日常生活活動)
- 「遊び」を通じて子どもの発達にアプローチ
子どもの発達プロセスを学び、作業療法としての「遊び」の企画を通して支援に対する理解を深めます。地域での保育実習を実施し、保育士などの異業種とどのように連携していくかという現場での対応力を養います。
(作業療法治療学Ⅲ(発達))
- 対象者の「作業」を引き出す面接手法を学ぶ
対象者が行いたい・大切にしている「作業」を見つけ、引き出すために有効となる「面接」の意義と手法を地域での実践を通して学びます。
(地域マネジメント論)
4年間の流れとカリキュラム
基本となる「作業」の考え方を徹底的に学び、心身の回復における作業療法特有の幅広い知識と技術を身につけることのできるカリキュラムを設定しています。
また、専門性の習得と並行して柔軟な課題解決能力の習得を目指し、1年次からはさまざまな観点を有する専門職と協働する力を身につける「多職種連携教育」、2年時からは「地域連携課題発見・解決型授業」を実施。病気や障がいを抱えた人も、そうでない人も共に生きていく「地域共生社会」の実現に向けてどのように作業療法士が専門性を発揮することができるのか、そのアプローチを学びます。
幅広い学びと経験、そして一人ひとりの将来像に合わせた選択型カリキュラムを通して、国家資格取得と卒業後の最適なキャリア選択の実現へ導きます。
*…自由選択科目 **…自由選択科目/3年次での履習も可
- 臨床実習
2〜4年次にかけて取り組み臨床実習では、クリニカルクラークシップを取り入れ、実際に臨床業務の経験を通じて専門スキルを学びます。身体障がい、精神障がい、発達障がい、老年期障がい、地域リハ等、幅広い分野での臨床実習先があり、進路を検討する上での貴重な経験を積むことができます。