スポーツトレーナーになりたくて
学生の頃から積極的に行動してきた。
もっと力をつけて将来は
パラリンピックに携わりたい。

寛田クリニック 理学療法士

曽田 将紀 さん

Profile
島根県松江市出身、本学2019年卒。理学療法士として回復期病院で経験を積み、現在は整形外科クリニックに勤務。目標であるスポーツトレーナーを目指し、車いすバスケのチームにトレーナーのボランティアとして関わっている。

現在の職場を選んだ理由を教えてください。

シマリハを卒業後に就職した病院では主に回復期の患者さんを担当していました。
退院後の自宅での生活に焦点をあてて毎日リハビリを行い、ADL(日常生活動作)が徐々に回復していくのを実感できる点はやりがいがありました。ですが、パラスポーツのスポーツトレーナー(以下、トレーナー)になる目標を学生の頃から持っていて、目標を達成するためには仕事でも若い世代と関わっていくことが大切なのではないかと考えるようになり、パラスポーツのリハビリにも力を入れている現在のクリニックに移りました。

仕事内容とトレーナー活動について教えてください。

整形外科クリニックで理学療法士として働いています。40~50代の働きざかりの患者さんが多く、仕事で肩や首・腰などを痛め、今すぐ治してほしいとの思いで受診されます。以前の職場とは違い、早急に結果を出さなければならず、まだまだ力が及ばない部分もありますが「楽になった!」と言ってもらえることが嬉しいです。また、患者さんの職業に合わせたアプローチを考えるのは楽しいですし、やりがいがあります。
トレーナー活動は休日に行なっており、車いすバスケのチームに関わらせてもらっています。選手の意見を聞きながらトレーニングメニューを提案したり、自分が作った資料を送って実践したりと、チームの期待に応えられるよう頑張っています。まだ勉強中の身ですが、将来はトレーナーを仕事にすることが目標です。

トレーナー活動を始めたきっかけは?

シマリハの学生時代から将来はトレーナーになりたいと思っていました。当時はトレーナーサークルがなく、学校の先生にお願いして現場見学に行ったり、先輩トレーナーとのつながりを作るなど積極的に活動してきました。社会人1年目に、パラスポーツでのトレーナー活動ができないかなと思っていたところ、同僚やその知り合いを通じて現在のチームの練習を見学させてもらえることになり、自分から「トレーナーとして役に立ちたい」と声をかけたことがきっかけで今に至ります。数あるスポーツの中でなぜパラスポーツを選んだのかというと、サポートする人材がまだ不足しており、自分にも何か手伝えることがないかと思ったからです。

トレーナーとして心がけていることはありますか?

脊髄損傷による障がいなどで選手本人の手が届かない部分をストレッチしたり、あまり動かせない小さな筋肉を動かして関節の安定をはかるなど、怪我を予防するためのアプローチを行なってパフォーマンスが向上することを目指しトレーニングメニューを考えています。初めは選手の皆さんに気を使って、色々な場面で「手伝いましょうか」と声をかけたりしていました。しかし、私たちから見て大変そうに思うことでも障がいのある人にとっては普通であり、過剰にサポートするのは良くないんだなと気づかされたんです。動かせるレベルや残存機能は人それぞれ違いますが、それは障がいがある人もない人も同じ、ひとりひとりの個性だと考え、対ひとりのスポーツ選手として対応することを心がけています。

トレーナー活動の、どんなところにやりがいを感じますか?

車いすバスケのチームに関わらせてもらい4年目となりました。やりがいを感じるのは、食事やトレーニングについて質問されることが増え、頼られていると実感したときです。また、パラスポーツを盛り上げたいという同じ志(こころざし)をもった人と横のつながりが生まれてくることが嬉しいです。

曽田さんの今後の目標を教えてください。

トレーナーとしての技術を磨き、いずれは地元である島根県に戻ってパラスポーツに貢献したいという思いがあり、国際大会やパラリンピックのサポートとして活躍するのが目標です。パラスポーツが盛り上がるためには多くの人が障がいについて理解を深めることが必要だと思いますし、パラスポーツに関心を持つ人が増え、観に行きたい、携わりたいと思ってくれる人も増えると嬉しいです。クリニックに来られる患者さんから「障がいを持っていると通院するだけでも様々なハードルを感じる」と言われたことがあります。どんな場面で困りごとが生じるのかを多くの人に考えてもらい、もっとバリアフリー化が進んでいってほしいです。私自身、今になって、学生の頃から知っておきたかったと思うことがたくさんあります。例えば、脊髄の何番目を損傷するとどの筋肉が動かせなくなるかというような勉強をしますが、障がいによって普段の生活のどんな時に困るのか、反対にどう支援すれば活かせていけるのかを考えることが必要です。これから療法士を目指す学生には「教科書に書いてあることだけでなく、日常生活に寄り添ったケアを考えられることが求められている」と伝えていける人になるのも私の目標といえます。
また、障がいの有無に関わらず、スポーツは生きがいのひとつになると思っています。年齢を重ねても今と変わらずスポーツを楽しめるように、選手の今だけを見るのではなく、5年後10年後の将来を見据えたトレーニングメニューの提供ができる理学療法士になりたいです。

シマリハで印象に残っていることは?

卒業式で先生方が涙を流してくださったことです。他の学校に比べて先生と学生が近い存在だと感じます。

理学療法士を目指す高校生に向けてメッセージをお願いします。

私はこの仕事に就いて本当に良かったと感じています。シマリハはスポーツトレーナーになるためのプログラムも充実していて、私のようにトレーナーを目指して入学する人も多いと思いますが、初めからスポーツ1本でいくと決めずに、自分が選ばないことにもどんどん飛び込んで引き出しを増やしていってほしいです。地域の方や多職種との連携の大切さを学べますし、さまざまな経験ができるシマリハには、自分が思っているよりももっとたくさんワクワクすることがありますよ!

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