現在の仕事について教えてください。
出雲市にある急性期の病院で、病気やケガで入院されてすぐの方や、手術を受けて間もない患者さんへのリハビリに携わっています。入院期間は長くても2週間ほどで、受け持ちの患者さんが退院、もしくは回復期の病院などに転院されるまで、責任を持ってリハビリを担当します。
毎日十数名の患者さんに携わり、カルテ入力や、転院の際に必要な情報提供書の作成も自分で行います。また、院内の委員会活動や、治療の方針について話し合うカンファレンスにも参加し、毎日忙しくしていますが充実感があります。
どうして急性期の病院を選んだのですか?
シマリハ在学中に、島根県立中央病院をはじめとした急性期の病院で臨床実習をさせてもらったことがきっかけです。病気発症直後の最初の状態から関わることができて、リハビリによって日を追うごとに動きが良くなったり、目に見えて変化が分かったりする部分に魅力を感じました。
理学療法士として、仕事のやりがいを教えてください。
例えば骨折や手術直後の方は、痛みが強くてあまり動くことができません。辛さや病気のショックで意欲が湧かず、リハビリをしたくないと言われることもあります。ですが、患者さんに想いを聞いてみると、「家に帰りたい」「動けるようになりたい」と話されることが多いです。その想いを共有しながらリハビリを行い、今日は立てた、少し歩けたというように成功体験を積み重ねていきます。すると、患者さんからも「動かせるようになって嬉しい」と言っていただけて、やっていて良かったと感じます。また、退院されたあとも定期受診などで病院に来られた際に、わざわざリハビリ室に会いに来てくださる患者さんがおられます。「おかげで歩けるようになりました!」と笑顔で話され、スムーズに歩かれている姿をみる時が、この仕事にやりがいを感じる瞬間です。
急性期の患者さんへのリハビリは、どんなところが難しいですか?
重症の方や、体の状態が安定していない患者さんが多いのが急性期の特徴です。動かしたらいけない箇所や、行なってはいけない施術など、カルテに書かれている注意事項を見落とさないようにしないといけません。総合病院なので、骨折のような整形外科の分野以外にも、脳血管障害による麻痺、心臓や肺、胃など内臓の手術を受けられた方をはじめ、さまざまな患者さんがおられます。リハビリの知識だけでなく、病気や薬、検査データといった膨大な情報を理解する必要があるところは大変です。ですが、経験を積んでいくとともに、必要な情報を優先的に選別できるようになってきたと感じています。
壁にぶつかった時はどうしていますか?
新人の頃は特に、患者さんからの質問に答えられなかったり、どう声をかけていいか分からなかったりして困りました。ですが、そんな時こそ積極的にコミュニケーションをとるようにして触れ合いを増やしました。分からないことを自分で勉強するのはもちろん、理学療法士の先輩に質問して教えてもらうことも多かったです。今では私にも後輩がたくさんできて、「なかなかリハビリが進まなくて、どうしたら良いですか?」と相談を受けることもあります。自分が1年目だった頃を思い出しながら、後輩と同じ目線に立ち、難しい用語を使わないようにしたり、なるべく噛み砕いて分かりやすく伝えるようにしたりしています。
シマリハでの思い出は?
学年の域を越えて、学生同士とても仲が良かったです。球技大会などのイベントでの交流だけでなく、実習の報告や研究発表を他の学年が聞く機会があって、行事を通じて皆んなが顔見知りになるんです。こういった機会が設けられるのは、4年制のカリキュラムならではの、ゆとりがあるおかげだと思います。先生も熱心でフレンドリーな方が多く、いつも学生と先生が職員室でワイワイ楽しそうにしていた思い出があります。こんな雰囲気の良い学校、なかなか無いと思います。ぜひオープンキャンパスに来て、自分の目で確かめてみて欲しいです。
これから療法士を目指す方へ、メッセージをお願いします。
人と関わるのが好きで、医療系の仕事に就きたい方に療法士の仕事はおすすめです。なぜなら、人とたくさんコミュニケーションをとりながら行う仕事だからです。療法士は患者さんとはもちろん、医師や看護師、社会福祉士などの多職種と関わることが多いです。良い関係性がつくれていると、疑問があっても聞きやすいですし、疑問が解決できると自分の知識も増えます。
コミュニケーションはちょっと苦手、という人も大丈夫です。先ほどお話ししたように、シマリハは学年を越えての交流が盛んなうえに、地域に出てさまざまな人々と関わるプログラムが充実しています。コミュニケーション能力を高めるためにも、興味がある活動に積極的に参加すると良いです。4年間を通して、会話や人との関わり方が上手になる学生もたくさんいます。