退院後も、
その人の人生は続いていく。
“自分らしさ”を生活に
取り戻すリハビリを目指して

えだクリニック 理学療法士

長谷川 奈保 さん

Profile
島根県出雲市出身、本学2014年度卒。岡山県の回復期病院に約3年間勤務して経験を積んだ後、Uターン。現在は、医療法人えだクリニックにて松江市全域の訪問リハビリテーションを担当している。

訪問リハビリテーションの道を歩まれたきっかけは何ですか?

回復期の病院では、患者様がご自宅での生活に復帰することを目的としてリハビリを行います。自宅に帰ってから困らないように住まいの訪問なども行いながら進めていくのですが、退院してから会いに来てくださる方の中には「病院のときとは違って、今はこんなことで困っているんです」とおっしゃられる方もいます。
病院でのリハビリが終わっても、患者様の生活は続いていきます。そうした体験がきっかけとなって「もっとみなさんのそばで、その人らしい生活が継続できるために自分ができる事はないか」と思うようになりました。

そうして現在のお仕事を選ばれたんですね。

えだクリニックは訪問リハビリテーションのほか、スポーツトレーナー活動に積極的に参加している先輩方も多い意欲的な職場です。さまざまな面で地域の方と関わることができる機会が充実しているため、自分自身の勉強になると感じ、Uターンを決めました。

訪問リハビリテーションでは、どのようなリハビリを行うのですか?

利用者様のお宅に訪問し、一人あたり40分ほどの時間でリハビリを実施します。今は1日に多くて6名の方のお宅に伺っています。訪問リハビリを利用される方は70歳~80歳代の方が多く、病院を退院したばかりの方もいれば、転倒予防のためにリハビリを受けたい方など、一人ひとりの状態はさまざまです。
リハビリの内容は、各関節の関節可動域練習や筋力強化練習などの機能的な練習のほか、施設やお家など利用者様が過ごされている場所で生活するために必要な動作の練習などを中心に行っています。また、利用者様ご本人の「したい、やりたい」という希望に合わせながらリハビリ内容を考えていきます。目標立てや内容については利用者様やご家族様、ケアマネージャーさんや主治医と確認・相談を行いながら決めています。
定期的な訪問の中でも、利用者様の体調や状況の変化に応じてリハビリの内容を変更しながら対応しています。

リハビリとして、訓練だけではない関わり方もあるんですね。

 病院に勤務していた時は、患者様はみんな「自宅に帰りたい」という気持ちを一番に持っておられて、それが明確なリハビリの目標になっていました。しかし、いざ自宅に戻ってみると「目標が見つからない」という方や「動かないといけないことは分かっているけれど、動きたくない」という方がとても多いことが分かりました。
利用者様のそうした心の部分、やる気をどうやって引き出していくかということはとても大切な部分であり、課題だと感じています。

どんな時にやりがいや手ごたえを感じますか?

関わりを持たせていただく中で利用者様がご自分で何かをしたいと思えるきっかけを作ることができたこと、利用者様の「嬉しい」という気持ちを一緒に共有できることが一番の喜びです。継続してお宅に伺うので、療法士が利用者様とはもちろん、ご家族様ともしっかりとした関係を築くことができるというのは、訪問リハビリの強みではないかと思います。

島リハでの学びや経験は、お仕事にどのように活かされていますか?

在学中は自治会長(※生徒会長のような役割)をしていたので、特に地域のさまざまな年代の方と接する機会が多かったです。一緒に祭りの準備をさせていただいたり、おみこしを担いだり。高校生の頃はそのような地域の方々と深く接する機会がなかったので、当時の地域交流の経験が今の仕事に活かされていると感じます。
また、先生方や先輩方からは臨床実習に向けてたくさんアドバイスをいただくなど、精神面で支えていただいて部分が大きかったです。4年間を通して、人に恵まれた学生生活であったと思います。

これから、どんな療法士を目指していきたいですか?

運動機能の回復ももちろん大切なことですが、利用者様がその人らしく生活を送ることができるようお手伝いをさせていただき、利用者様と一緒に成長していけるリハビリをしていきたいです。
リハビリに対してなかなか前向きになれない方にどんな風に声かけなどの働きかけをしていけばいいのか、利用者様本人はもちろん、ご家族様や周囲の方々も一緒により良い生活を送れるようにするためにできることがもっとあるはずなので、もっと勉強していきたいと思います。

これから療法士を目指す方に向けて、メッセージをお願いします。

病院や施設、訪問という現場ごとに求められることは変わりますが、大切なのは「患者様・利用者様とそのご家族様のお話に耳を傾けながら、一人ひとりの状況に応じて臨機応変に対応していくこと」だと感じています。日々のリハビリの中で自分たち療法士が「こうした方がいい」と考えていることが、利用者様にとってはそうではないということも少なくありません。その声をよく聞きながらお互いの考えを共有して、一緒にリハビリの形をつくっていくことが求められます。
理学療法士の免許を取得することがゴールではなく、そこからもまた、勉強の連続です。そう思うと大変ではありますが、それ以上に利用者様とそのご家族様と触れ合う中で一緒に日々の悩みや目標を達成した時の喜びを分かち合うことでやりがいを感じられ、自分自身も成長することができます。これから学ぶみなさんにもぜひ、その楽しさを感じてほしいと思います。

卒業生の活躍一覧へ